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目の前にそびえ立つ鳥居。
元は朱色なはずだがもう今は茶色に変色している。
背後にはうっそうと茂る森。
カラスが何十匹も出入りを繰り返している。
「………来てしまった…」
「なんか言った?」
「ううん」
もう関わりたくないと誓った二日後、早々と連れ戻されてしまった。
意味の分からない男とはもう会いたくないのに。
いや、別に会うと決まったわけじゃないけどなんとなく、会ってしまう気がするのだ。
「あたしの手袋覚えてる?」
めぐみが手元にある手袋の片方を見せてきた。
黒色で、手の甲の部分には赤いチェックのリボンが付いている。
うわー。
これ奴の服装に似てる…。
黒いジャージに、赤いチェックのはんてん。
これが1月1日に出くわした時の、彼の格好だった。
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