1月3日

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目の前にそびえ立つ鳥居。 元は朱色なはずだがもう今は茶色に変色している。 背後にはうっそうと茂る森。 カラスが何十匹も出入りを繰り返している。 「………来てしまった…」 「なんか言った?」 「ううん」 もう関わりたくないと誓った二日後、早々と連れ戻されてしまった。 意味の分からない男とはもう会いたくないのに。 いや、別に会うと決まったわけじゃないけどなんとなく、会ってしまう気がするのだ。 「あたしの手袋覚えてる?」 めぐみが手元にある手袋の片方を見せてきた。 黒色で、手の甲の部分には赤いチェックのリボンが付いている。 うわー。 これ奴の服装に似てる…。 黒いジャージに、赤いチェックのはんてん。 これが1月1日に出くわした時の、彼の格好だった。
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