1月3日

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「どうしよう…」 めぐみが言う。 もう打つ手は限られてる。 仕向けられたものなら、まんまと引っかかるようなものだけど、でもつまり私は 「わかった、私、取ってくる」 こう言うしかない。 「ありがとう!気をつけて!」 うん、と頷いて私は階段をあがった。 大丈夫だよね。 さっと行って、取って帰ってくれば大丈夫だよね。 自分に言い聞かせてそっと社に足を踏み入れた。 ミシッ…と床がきしむ。 この建物はだいぶ古いみたい…。 どおりで屋根裏に穴があくわけだ。 目指すは手袋。 その距離約5メートル。 床が抜けても困るから、なるべく音をたてずに急ぎ足で近寄る。 あと少し! これで持って帰ればいい! めぐみの手袋に手を伸ばす。 その時だった。 「おい」 頭上から声が聞こえてきたのは。
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