1月3日

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「だいじょーぶー?どうしたの?」 っ! 入り口からめぐみの心配する声が聞こえて我にかえる。 …うわ。 やだ、そうだよあり得ないよそんなの。 神様が目の前のこいつだなんて。 危ない、なんかわかんないけど信じかけてた… めぐみが不思議そうに私を見てるから、「大丈夫」とだけ返す。 「とにかくだな」 屋根裏から彼が急ぎ目に付け足した。 「わかるだろ?俺お前の願いを叶えなきゃならないんだよ」 そんな真剣に言われたって、私は騙されない。 でも…ひとつ、気になることがあるんだ。 1日には彼が誤魔化した話。 私はわかった、とは返事せず代わりにこう返した。 「…叶えられなかったらどうなるのかだけ教えて」 そうなのだ。 一昨日のあの時、彼は嘘か本当かわからないけどこう言った。 『40日以内に叶えられないと、どうなるのかは怖くて言えない』 言えないほどのことなのだろうか、気になってしまう。 すると彼は目をふせた。 そして絞り出すようにかすれた声で言った。 「俺……消えちゃうんだよ…」 消えちゃう!? 「だからさ……お願い。また5日後でいいからここに来て…いおな…」 「え…と……」 「俺消えたくなんかないよ」 眼差しに耐えられず目をそらすと同時に、めぐみが社に入ってくるのが視界に映った。 やばい、めぐみに変に思われる! 私は彼をもう一度見ることなく、まだ拾っていなかった手袋を掴んだ。
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