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「ところで千明、今から行く神社ってどんなところ?」
近くに神社があると言ったらそこに行こうとなったのだ。
でも着いたら、2人とも怒るかもしれない…
「あれだよ」
私は歩きながら前方を指差した。
「……ええええ!?」
2人は声をあげて私を見てきた。
「ごめん、こんなとこで」
ほら、やっぱり怒られた。
目の前には、ひっそりと深夜の闇に鳥居が浮かんでる。
鳥居の柱に彫られた文字、"烏出(からすで)神社"。
山のふもとに立てられた烏出神社は、背後に森が構えている。
まるで神隠しが起きそうな……
「ここ、普通に怖いじゃん」
そう、一言で言うと怖い所なのだ。
「千明~!ここほんとに大丈夫!?」
「めぐみの言うとおりだよ!
これじゃ肝試しじゃん!千明が任せてって言ったから任せたのに!」
「ごめんごめん!でもほら、ささっとお祈りしてささっと帰れば大丈夫だよ!」
私が先陣をきって鳥居をくぐると、2人も渋々着いてきた。
境内を見渡すと誰も管理してる人がいないみたい。
参道はカラカラに乾いた雑草が露出している。
お賽銭箱の前に立った私はお金を投げ入れた。
鈍い音がして50円玉が吸い込まれていく。
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