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朽ち果てて年季の入った賽銭箱を見て、私は思う。
「ここ、ほんとに神様いるかなー」
震える2人をそんな冗談で元気付けてみるはものの。
「知らない!もう早く帰ろうよお…」と返されてしまった。
「大丈夫だってばー。神社だよ?むしろ幽霊退治してくれる場所だし大丈夫だって!」
私は前を向き直り、ぱんぱんっと二度手を叩いた。
その音に反応してか、すぐそこの木からカラスが深夜には似合わず「カー!」と一声鳴いてばさばさと飛んでいった。
「ひっ!」
いきなりのことに驚く2人。
びびりだなぁ、もうー。
構わず私は鈴につながる綱を引いた。
からんからんと静かな夜に音が響く。
か、れ、し
か、れ、し
か、れ、し
頭の中で音頭をとりながら、鈴を鳴らす。
か、れ、し、が、ほ、し、い
こ、と、し、こ、そ
「彼氏がほしいいいいいい!」
からん!と一際強く鳴らした時だった。
「ミシッ」っとなんだか嫌な音。
「…へ?」
「きゃーーー!!」
その途端何かが視界の真ん中で落下してきたのが見えた。
突然のことで全てがスローモーション。
その間バリバリという轟音が耳に鳴り響く。
友達2人が悲鳴をあげながら、私を置いて神社から逃げていく。
驚いて動けない私。
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