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「あの、大丈夫ですか?」
これでも申し訳ないんだと、心配して聞いてみる。
「大丈夫じゃねーよ」
でも、立てるなら大丈夫なんじゃないかな…。
うん、元気そうに吠えてるし心配ないな。
彼の無事を確認して少し心に余裕が出来た私は、改めてその人の容姿に目を向けた。
歳は私と同じくらいか。
でも前髪をちょんまげに結ってるその髪型は、彼を少し幼く見せてるのかもしれない。
だから本当はもうちょっと歳上かも。
服装は実にラフ。
白いラインが入ったダボダボの黒いジャージ、その上に赤いチェックのはんてんを羽織っている。
足元を見れば裸足。
「めんどうなことしてくれやがって…」と呟きながら彼は今しがた出来たばかりの天井の穴を見上げている。
第一の疑問。
この人は何者なのか。
眉間にしわを寄せた彼が口を開いた。
「おいお前」
顎で私のことを示すのに合わせ、彼の結われた前髪がぴょこんと揺れる。
「へい」
「へいじゃねーんだよ、おい、お前の名前を教えろ」
こんな深夜に神社にいるってことは、神主さんだと考えるのが1番妥当だけど…
ジャージ着てるし神主にしては若いし…この場にはむしろ場違いな存在だ。
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