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「だから気にすんな。……つーかさ、そんな気になんなら、ここはマジでお前の奢りって事にしたらどうだ」
「……何でそうなるっすか」
何だか思ってもみなかった方向に話を持っていかれ、まさか本当に奢らされるのかと、少し調子に乗りすぎたと反省する。
「だって気にしてんだろ」
一方で、こちらの思惑を知ってか知らずか、にこにこと笑う和音に、やっぱり作戦は失敗したかなと、ふて腐れてそっぽを向いた秀臣が次なる手を考えようと思考を巡らせた時――。
「はーい! お待たせしましたー! 生いっちょー入りましたー!」
何か微妙なタイミングで生ビールがきてしまい、そのまま話は流れたとばかりに、和音がビールを受け取って飲み始めてしまう。
「ちょっ、部長!」
ここで流されてはいけないとばかりに、咄嗟に止めに入るが和音に睨まれてしまった。
「何? まだ何かあんのかよ?」
「マジ俺の奢りっすか……?」
それで負けてしまってはいけないと判断して、恐る恐る聞いてみると、和音が意地悪く肩を震わせる。
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