488人が本棚に入れています
本棚に追加
/270ページ
暗い部屋の中で電気も点けず、秀臣はただただ泣きじゃくっていた。
ぐちゃぐちゃになった思考を整理する事も叶わず、これからどうすれば良いのかも分からずに、泣くしかなかった。
「……俺、何で逃げちゃったんだ。絶対、部長理解っちゃったよな。……どうしよう……」
一人口にしてみるが、やはりどうしようもない。
会話内容から察するにあれは和音の父親で、多分また同じ事をして、息子の心を傷つけようとしている。
引き離されるのだろうかと、だが諦めたくない想いだけははっきりとしていて、和音のためになる事を必死になって考える。
源一郎から言われた。“例え何があっても和音の傍から離れず。絶対に護り通してくれ”と――。
約束した。
その約束を守らなければと、秀臣は源一郎から聞いた和音の過去を思い出していた。
最初のコメントを投稿しよう!