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「一つ言っとく。別に俺ぁ、お前に営業成績上げてくれなんざ頼んだ覚えもねぇし。ましてそれで俺からの褒美を求めんなって話だ」
言っている事は至極自然というか当然の内容で、それでも納得していなさそうな秀臣に、仕方なさそうに視線を合わせる。
そうして持っていた赤ペンでびしっと力強く指すと、そのまま睨みつけ更ににやりと意地悪く続けた。
「後、ついでだから言っといてやると、さっきお前が押しつけてきた報告書、駄目すぎるから返してやるよ」
とまぁそんな風に期待をさせておいて、返されるのは仕事の話でしかない。
「部長は俺の事嫌いなんすか!?」
毎回似たようなやり取りをしている二人である。
「さぁな」
それ以上の反論をさせないためなのか、容赦なく書類を顔に押しつけると、一度伸びをして深呼吸した。
「あーっと……。それからな。今夜飲みに行くなら行けるヤツ全員誘ってこいよ。無論、いくらかかっても飲み会はお前の奢りな?」
「部長酷い!」
全員が和音の勝利に笑い声をあげる。
明るいとあるオフィスの、何気ない日常の一コマだ。
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