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そしてその漫才すれすれなやり取りを横で聞かされていた斎藤が、心底不思議そうに、理解出来ない表情を浮かべ突っ込みを入れる。
「秀臣……。お前もしかして、……ドM……?」
「んな訳ないだろ!」
蹴られた箇所をさすりながらもすかさず反論する秀臣に、弱点を見付けられたかと和音は頷きながら、肩に軽く手を置き慰める口調で放つ。
「まぁまぁ今川。別に俺に害がなけりゃ、どんな性癖でも構わんから。取り敢えず仕事しろ?」
「さっきは必要ないから帰れって言った癖に!」
相変わらずの冷た過ぎる対応に、すぐさま振り向いた秀臣が反論するが、残念ながら、気にするべき肝心なところはそこではない。
「……性癖の誤解は解かなくて良いのかよ……」
斎藤の的確な指摘もどこへやら、秀臣の、相変わらずのアホっぷりに関心せざるを得ない。
仲が良いと言えばそうとも見えるし、秀臣の方が軽くあしらわれていると言われれば、そうとも思えるから不思議なものだ。
そしてそんな風に考えている内にも、残念な事に最早斎藤という存在は、二人の中で空気そのものとなってしまっているようだ。
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