記録

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叶夜の話をしよう。彼女は、昔から身を投じることで精神を保っていた。いつもいつも身を投じ、人に仕え、生きてきた。悲しみや苦しみ、そればかり心に刻み、生きてきた。私は彼女の心に引き寄せられ、彼女の人生に救いたいと思った。彼女の言葉は言霊に満ちており、精神的にくっつこうとする何かを感じた。 波乱に満ちた人生を幸福が包むのであれば私は一切の犠牲を問わない、と思った。自分の命さえ、と思った。私は人に偽善的な行いしかしてこなかったのに、生まれて初めて、他者のためにと尽くす心を知った。彼女は私の全てになった。何故だかはわからなかった。私は人よりも人にのめり込みやすく、人よりも感受性が高く、人よりも多くの苦しみを知っている。叶夜は自分のことを強いといっていたが、彼女から伝わるものは、繊細で凍えそうなくらい冷たい結晶できた、少しでも触れたら崩れてしまいそうな脆く透明でクリスタルのようで、みとれるくらい美しく、人々を魅了するような不思議な魅力を持った心だった。
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