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本当の地獄は中学に入ってからだった。
女の子から女性への成長をし始めた私の体をいやらしい目で見るようになったのだ。
最初は殴る蹴るがなくなり、ホッとしていた。
ある夜寝ていると、部屋にお父さんが入ってきた。
起きていたらまた殴られるかもしれない、と思いとっさに寝たふりをしてしまった。
それが間違いだった。
お父さんは私の足元から布団の中に手を入れ、パジャマをずらし下腹部を優しく撫でた。
最初はなにをしているのか分からなかったが、だんだん撫でている手が私の股に滑り込んできた。
怖くて起きることはできなかった。
お父さんの手が下着の中に入ってこようとした時、とっさに寝返りをして足を閉じた。
するとお父さんが私の胸ぐらをつかみ、
「痛い思いしたくなかったら黙って寝たふりでもしとけ」
とドスをきかせながら静かに言った。
涙は出なかった。
お父さんは毎晩のようにやってきて私の下腹部をいじりまわした。
休日になると、写真や動画を撮りながら指示をした。
私は言われるがままに服を脱ぎお父さんの欲求を満たした。
殴られ蹴られ奴隷のように扱われるよりマシだった。
そのうち飽きるだろう、そう思いながら我慢したけどなくなることはなかった。
私の16歳の誕生日に、お父さんは交通事故で亡くなった。
やっと解放された
涙は出なかった。
出るはずがない。
憎くて憎くて仕方がなかったお父さんがいなくなり、私の新しい人生がはじまると思った。
こんな過去をもつ私が新しい人生を切り開けると思う?
恋愛なんてできると思う?
同級生がバカみたいに思えて、恋愛なんて偽物にしか見えない。
ままごとしてなにが楽しいの!?
私の心は冷え切っていた。
まだ16歳だというのに。
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