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プロローグ
「真理奈ちゃん、これ、良かったらもらって」
そう言ってもらったのは、紅色の口紅だった。
「これ、もらってもいいの?」
「うん、真理奈ちゃんなら、絶対、似合うと思って、買ってきたんだ。卒業の記念にって事で。お願い、もらってくれる」
私は、頼まれたら断れない性格だった。だから、美由先生は、これを私にプレゼントしてくれたのかもしれない。
まだ幼稚園児だった私は、こんなもの、何に使ったらいいのか、わからなかった。だから美由先生は、これは大きくなったら使ってね、って付け加えたのかもしれない。
大きくなった私は、どんな顔をしているのかな。きっと、綺麗な女性になってるのかな。結婚してるのかな。
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