第一章 出逢い

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「お客様」 「ああ、やんなっちゃう。服にこれだけ、時間のかかる大人って」     二  不意に後ろから声が聞こえてきた。見ると、店員さんの後ろから、セーラー服姿の女性が、私たちに向かってこっちに来ているみたいだった。 「服に、どれだけ時間割いてるのよ。私、これから塾だっていうのにさ」  塾、ということは、彼女は中学生か高校生。いやいや、高校生には見えないか。 「ごめんなさい。私、そう言ったつもりじゃないのよ」  後ろから声が聞こえた。振り返ると、30歳半ばと見える女性が、そこに立っていた。
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