第一章 出逢い

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 と言って、彼女が向こうの方に行ってしまったから、えっと、こっちの方、探せばいいのかな。     三  えっと、口紅、口紅っと。あっ、あった。あれ、これって。 「あったよ」  私が大きな声で彼女に言ったので、周りの人が一斉に、私の方を睨みつけてきた。恥ずかしいよう。 「あったって?」  彼女が人混みをかき分けて、こっちに向かってくるのが見えた。私は、先ほど見つけた口紅を片手に持って、 「これだよね」  って聞いた。彼女は、見えないって言っていたので、私は、頭の上に持っている手を持ってきて、それを見えるように、左右に振って見せた。 「どう、見えた?」
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