第一章 出逢い

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「うん」  彼女は笑って答えていた。そんなに大事なものなんだ。私はそう思った。     四 「小さい時に、おばあちゃんがお土産にってくれたんだ。お母さん、まだ早いわよ、っていってた。そしたらおばあちゃん、大きくなったら使って欲しいって。だから、その日が来るまで、大事にしまってるんだ」  なんか似てるな、って思った。私も、美由先生からもらった口紅、大事に持っているんだ。大きくなったら、使って欲しいって。そう、彼女に言ったら、 「見せて」  彼女にせがまれて、私は思わず、ポシェットから、口紅を出して、それを見せた。彼女、それ見て、笑ってた。お揃いだねって。
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