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血が混じった唾を吐き出してよろよろと立ち上がる。
早くっ、少しでも遠くにッ!
片手で口を塞ぎ、もう片方の手で痛む身体を支え引き摺るように歩き大炎上するトラックから離れる。
周りは濃い煙が立ち込め、一寸先すらまともに見えない。それでも離れないとッ!
急ぐ、しかし身体がその意思に呼応しない。
「くぅっ・・・・」
痛覚を声に変わる、その時ーーーーーー
『バリィィィン!!』
硝子が弾け、車体が歪み、遂に汽船よりも更に大きい轟音と共にトラックが大爆発を起こす。
巻き上がる煙、業々と燃え上がる炎。
俺自身も爆発による風圧に吹き飛ばされ、前方に立っていた電信柱に背中からぶち当たった。
一瞬呼吸が止まる。
身体中の骨が軋み、ずり落ちるようにコンクリート倒れ込んだ。
「ぶっ!」
口内に溜まった血混じりの唾液が吐き気出る。
電信柱に激突したとき頭も打ったせいかクラクラして視界がぶれる。
まるでカメラを無茶苦茶に揺らしながら撮影をしたときのようなそんな感じ。
そしてぶれていた視界は徐々に暗くなり、これが気絶なのかと思いながら意識は溶けるように消えていき、世界は暗転した。
「うわっ!」
俺は勢いよく起き上がると、そこはトラックの中ではなく、そこは見慣れた自室だった。
身体は汗でびっしょりに濡れて、息も少し上がっている。
「・・・・・夢だったのか?」
手で額の汗を拭い呟いた。
枕元のデジタル式の時計に目をやると時刻はまだ6時を回ったばかり。
カーテン越しに窓の外からは小鳥の囀ずりが聞こえてくる。
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