一話 黒い殺し屋は闇を切る。

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【壱】 八月は暑い。 ましてやこんなスーツ姿でいることは自殺行為に等しいだろうに…と電車に揺られながら毎日疑問に感じている。 だが、今日だけはそれすらも気にならなかった。 私は殺しの依頼をした。 だからといって後悔はしていない。寧ろ今から殺し屋に会えることに楽しみさえ感じていた。名前は覚えている。カラス…「牙」に「鳥」で「鴉」だ。詳しい情報は特になく、ただ殺し名だけが表記されていた。本名は勿論、電話番号なども一切書かれていなかった。 「どんな奴なんだろうか…会っていきなり銃とか突きつけられないよなぁ」 まさかと思いつつもかなり危険性はある。いや、そもそもどんな武器を所持しているのかさえも知らない。どう殺すのか…しっかり訊いておかなければ。
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