堕天使の翼~一人の少女が堕ちるまで~

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亜弥は放課後、大体8時前に佐藤の部屋へ向かい、9時頃までいるようになった。 たわいもない話や、 亜弥の悩みなど、色々な話で盛り上がった。 普段はポーカーフェイスな佐藤も、亜弥と話をしているときは、別人のようににこやかであった。 そう、よく笑っていたのだ。 いつのまにか、二人の間に敬語は消え、友達のようにおしゃべりしていた。 しかし、佐藤の部屋というのは、佐藤だけの部屋ではなく、小さな準備室である。 もちろん、他の教師も在籍する部屋である。 他の教師の前では、佐藤はまた、ポーカーフェイスに舞い戻ってしまうので、亜弥は佐藤がひとりの時をねらって行っていた。 いつものように、 話をしていた。 すると、部屋の扉があき、 理科主任の川原が入ってきた。 そして一言。 才原さん、 いいかげんにしなさい! 佐藤先生も仕事があるんですからね! 帰りなさい! ものすごい剣幕で川原に怒鳴られた亜弥は半分泣き顔だった。 帰ります。 失礼しました。 亜弥はそう言って部屋をあとにした。 最後に見えたのは、佐藤の困惑の表情であった。 胸が張り裂けそうな思いであった。 川原のくそはげぇえ! 最初はそう思ったが、あとあと考えるとすべ 自分が悪いわけで。 亜弥は悔しさと恥ずかしさで、また、泣き顔になった。
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