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家に帰った亜弥は、とてつもない罪悪感に襲われた。
あの時川原に怒られたのは自分だけではなかったのだ。
亜弥の学校の最終下校時間は20時30分である。
川原に怒られた時点で、長針はすでに9を指していた。
そう、つまり生徒をそんな時間まで居させたらいけないのだ。
どんなに楽しくても…
川原に小言を言われる佐藤の姿を想像するだけで、胸が締め付けられるような息苦しさに襲われた。
亜弥はこの想いを今すぐにでも佐藤に伝え、迷惑をかけたことを謝りたかった。
しかし、佐藤はここにはいない。
だからと言って、また話をしに行ったら川原に怒鳴られる。
亜弥は反省文という名の手紙を書くことにした。
翌日、亜弥は階段の踊り場で佐藤を待っていた。
この踊り場は、人通りが少ないうえに、佐藤のクラスと準備室の途中にあるため、絶好の待ち伏せ場所と化していた。
佐藤の声はよく透るので、廊下まで響いていた。
その声がだんだん近づいてきて、教室の扉が開き、佐藤が近づいてきた。
せんせい
おぅ、おはよう。
どうしたん?こんなところで。
ここに来ればせんせいに会えると思って……あの、これ
ん?何これ。
反省文、書いたの。昨日の。 気になってて、書かずにはいられなかったの。
わかった。受け取っておくよ。
感想、聞きにいくからね!
はい。目は通しときます。
佐藤は手紙を読みながら階段を下っていった。
亜弥は満足だった。
心のなかでガッツポーズをした。
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