幾度の始まりの一片

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「お前達の姿格好から元に戻さないとな」   琴音はパチンと指を鳴らした瞬間、シフォンは、髪は黒く目は赤 色になっていった。 リーンカーネイションは、髪は麦畑の色、目は澄んだ青の色にそれぞれ変化した。 「ちょっと!私達に何したのよ!」 声を、上げたのはリンだった。 威勢のいい言葉のわりに、何か怖い物を目にした小動物のようだった。 「それが、お前達の本来の姿だ。少し話しをしよう。どうやら、お前達の守人の話しは改竄されているようだからな」 「改竄って、誰が何の為に。それに、琴音さんの話しを信じろと言われても、証拠がありません。どうやって信じろと?」 琴音はリンの所へ歩み寄って、リンの丁度、胸をポンポンと叩いてみせた。     「リンの心臓が証拠になる」 ニヤリと笑う琴音をよそに、浩牧師が「琴音様、まだその話しは、」 「いいだろう?あまり、時間もないからな。守人は、全知全能の心臓を守る事にある。心臓の継承者には、血縁等関係がない。そうだな、杉村姫乃の最後を言ってやろう」淡々と人の話しを聞く様子もなく続ける。 「杉村姫乃は、継承者故に自分の身 を自ら守る為に闘い死んだ。けれど、それは偽りに過ぎない」 「だから、どういう事よ!?」 「リンちゃん、今は黙って聞きましょう」 リンが興奮しているのに対し、シフォンは冷静だった。この場面では、琴音の話しを黙って聞く事が正解だろう。 「実際に姫乃は闘ったが、姫乃の死因は、自殺だ。自ら心臓を傷付ける事で、魔法も完成した。が、甘かった。」少し寂しそうな、ものふけっているような、そんな表情だ。
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