幾度の始まりの一片

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「それが私だって証拠は?」   「何でもいい、この結界を魔法で破ってみせろ。魔力は増しているハズだ」 んー、と少し唸ってから詠唱を始めるリン。 「大いなる天空より降りかかりし物、今その力を示さん。ヴァンツァーダウン」   天に向けて放った呪文と、空に向けて伸ばした手。呪文を言い終えたほんの少しの間を空けて、雷の如くそれは、琴音に降り注いだ。 (こんな呪文で死ぬようなら、琴音は真理じゃない。それに本当に力が増してるみたい) 得意気な顔で琴音の姿を凝視するが、指一本雷が降り注いで来た所に、伸ばしているだけで、琴音はひょうひょうとしていた。 「私にでも当てたかったのか、私に当てるのは考えない方が賢明だ。これでまた、結界を張り直させられるな」   うんうんと頷きながら琴音は、シフォンの方へと目を移した。 「2人同時に詠唱しろ、さっきの結界を教えてやる」
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