幾度の始まりの一片

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琴音は、その前にと付け加えた。「シフォンの方はリーンカーネイションの血を吸うんだ。お前は、悪魔の落とし子だからそれ以上魔に属する前にリーンカーネイションの血を吸う事。ただし、リーンカーネイション以外の血は吸うな、キツいと思うが」 「私が...リンちゃんいい?リンちゃんが嫌なら、私はしないからね」    と微笑みながら言う。   「お姉様いいんですか!?悪魔だと宣言されたんですよ!.....何も、言い返さなくて....」     リンの言葉は、シフォンの微笑みに負け、最後は弱々しかった。 「私が悪魔だろうが何だろうが、私はリンちゃんのお姉ちゃんだから。考えても仕方ない事は、考えないの」 トントンと近付くシフォンにリンは、何も言い返さなかった代わりに、首筋をさらけ出した。 口の柔らかく温かい感触がリンの首筋を襲う。牙を立てられ、少しは痛んだのだろう、リンは一度顔をくしゃくしゃにしたが、ほんの一時だけで終わった。 「血って美味しいのね。あっ、私今吸血鬼みたいじゃない?」 へらへら笑っているシフォンに対して、リーンカーネイションは複雑な心境と言わんばかりの顔をしている。 「では、私に続いて詠唱してもらおう。.....大気より確実にある物、地より固き物、光より速やかにここを確立せん、バルド」 シフォンとリンの息はぴったりで、亀山邸に来て間もなく展開された魔法陣が今、倍の速度と強度で構成されていく。
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