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ティアナのお腹には、2人の赤ん坊がすくすく育っているが、ティアナの余命は、ほんの僅かな時間しかない。
「痛っ.....」
突然襲われた痛みに、ティアナの顔が酷く歪む。
「陣痛か?!」
こくっとだけ頷くティアナを何とか抱き寄せ、車まで歩く。
「早く、香苗の所へ」
そう言いながら何とかティアナを車に乗せ、車を動かす。
この車には、呻く声しかない。
最悪だった。道路が混み合っているのだ、けれどルイは淡々と話し始める。
「最初に君と出会った時、俺は(この人と一緒になるんだ)って思った。そこからは、必死だったよ。君に振り向いてもらう為に」
最後が近いからこそ、ルイは続ける。思いやりと愛から来る言葉なのだろう。
ルイは、ティアナを気にしている、だから最後に最初の出会いから話しているのだ。
当のティアナは、話す余裕もないみたいだ。
呻くばかりで、相槌1つも打たない。
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