幾度の始まりの一片

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「これは!?」 お姉様の顔を見るが、首を横に振り「これは、強力な結界魔法。お婆様が亡くなられて、結界を張る必要はあったけど......」 と口ごもったのと同時に、お姉様は走り出した。 きっとお姉様の走る先には、この結界を張った人物が居るハズ。 私もつられて走り出す。 この豪邸をいちいち調べるよりも、お姉様の感知能力で結界の大元の所へ行った方が時間は、かなり削れる。 そもそも展開されている結界は、かなりの大技だ。 私やお姉様、浩牧師、亡くなられたお婆様、今現在思い付く人を頭の中で浮かんでは消える。 つまり、私達の知りうる人物では居ないのだ。  (一体誰がこれを...?) お姉様のあとを追っていて短時間でお姉様の所に、結界を張った主の所へ来れた。 そこでお婆様の頬を自分の手で撫でる琴音の姿があった。まるで、「お疲れ様」とでも言っているかのような、そんな触り方だった。    「やっと来たか」 相変わらずな調子で床に着いていた膝を立たせる。
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