乾いた日々

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藤崎の言葉に特に返答することなく中央階段を上り、2階に着くと右前に見える自室の扉の前に立った。鞄と上着を持った使用人が横から手を伸ばしてドアノブに回し、扉を開ける。 「拓人様、どうぞ。」 その声のままに自室へと入り、広い部屋を見渡す。掃除をしたのだろう、ベッドやソファーの上が整理されている。 「先ほど藤崎が申しました通り、昼食の準備が出来次第また参ります。」 上着をクロークに納めて鞄を棚に置き終えた使用人はそう言って頭を下げ、扉を閉めて出て行った。 「ふぅ~」 思わずため息が漏れる。自宅に帰ってきたというのに、心が休まるどころか反対に気を張らなければならない。ここが本当に自宅なのだろうか。 制服から自宅用の服に着替えた後、ソファーに腰掛けて休憩していると、自室をノックする音が聞こえた。
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