乾いた日々

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「よかったな。担任はどうだ?」 「担任の先生は今年新しく来た人でよく分からないの。でも若い女の先生で優しそうだよ。」 美優の笑顔を見るとこちらまで顔が緩んでくる。藤崎や使用人の作られた笑顔とは違い、心から笑っていることがよく分かる。この刑務所のような家で、唯一心が安らぐ存在だ。 「お兄ちゃんは?新しいクラスどうだった?」 「今年も進と一緒のクラスだった。それと、一階分教室の高さが変わったから見える景色に違和感があるな。それより、新しい環境になって何か心配はないか?」 その後、美優が学校のことについて話をしてくれ、相槌や質問をするということを繰り返していると、再びノックの音が響いた。 「どうぞ。」 「美優様、こちらにいらっしゃいましたか。昼食の準備が整いましたので、呼びに参りました。お二人とも食堂までお越しください。」 先ほどとは別の使用人が扉のところで作り笑いを浮かべながら立っていた。この家の人間は皆そうだ。笑っているようにみえても、その顔には仮面が張り付いているようだ。しかし、今扉の所に立っている使用人は笑顔の仮面が引きつっている。
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