乾いた日々

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寒さへの嫌悪感は、だんだんと目の前で笑顔をつくる人間に対しての苛立ちへと変わっていく。今日は数日中でも気温が低いのに加え、校舎の棟と棟の間にあり陽の光が当たらない渡り廊下に呼び出された。そして、あちらが第一声を発するまでに数分掛かった。ようやく言葉を発したと思ったら、何の脈絡もなく食事の勧誘だ。この人は何なのだろうか。 「もしかして・・・紅茶は嫌いですか?そしたら、コーヒーはどうでしょう?」 苛立ちが表情に出ているのだろう。俺の顔色を伺いながら話す様子を見れば、よく分かる。それが余計に苛立ちが募らせるのだ。 「あ、でも今日急に行きましょうとお誘いしているわけではありません。連絡取り合ってどこに行くか決めませんか?もしよかったらこのメールアドレスに連絡下さい。」 連絡先が記されたメモを素早くを取り出す様子から推測して、今日のこの場面のために懸命に準備をしてきたのだろうと簡単に想像が出来た。しかし、そのようなことは無関係だ。寒い中に呼び出された事、どうでもいい内容を一方的に話し続ける姿、さらには自分の顔色を伺って怯えているような女子生徒の表情が自宅にいる女中と重なって見えることに腹が立つ。我慢の限界だ。メモを持った腕を前に突き出して顔を地面に向けているのは好都合だ。あいつも待っているだろうし、なによりも寒い。帰ろう。
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