乾いた日々

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進と話している時は力を抜いていられたが、家に戻ることを考え憂鬱な気分になっていった。 敷地の入り口にある金属製の黒い格子門は刑務所への入り口に思える。そして、家に入れば看守が出迎え、牢獄へと付いてくる。牢獄は広く必要なものはあるが、自由は無い。 あの刑務所に帰らなければならない。交差点から家への道は足枷を嵌めながら歩いているような感覚に陥る。いや、ずっと足枷を嵌められているが、家から離れることで存在を忘れられているのかもしれない。 だが、もう自分は倉橋家の人間であるということを思い出さなければならない。 着いてしまった。金属製の大きな格子門、それを中心に広がる白煉瓦の外壁、格子の隙間から見える外国の官邸をモチーフにした建物、綺麗に敷き詰められた石畳が建物に続き、途中には噴水がある。 この市で最も大きい敷地を有したこの建物が自宅だ。門の横にある指紋認証機械に指をかざすと、承認を示す電子音が響くと同時に門が開いていく。門が開く音をほぼ毎日耳にするが、この音が刑務所に帰ってきたことを実感させる。
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