そのキス いくら?

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  「「キリト~っ!?」」 黄色い声が見事にハモって、バタバタと廊下を走り回る複数の足音がドア一枚を隔てて響いてくる。 「いた!?」 「ダメ。逃げられたぁ」 「絶対こっちに来たと思ったのにぃ」 いやいや。 んなデカい声出したらバレバレだっつーの。 廊下の様子が手に取るように想像できる会話に、込み上げる笑いをガマンする。 逃げ込んだ図書室の壁にもたれて座り込みながら、オレは笑いをこらえて聞き耳を立てた。 「やっぱ、女って怖ぇ……」 思わずボソッと漏れたのは、多分本音。 いや。そのタネを撒いてるのはオレ自身だから、自業自得なんだけどさ。 そんなこんなも、楽しいっちゃ楽しい。 所詮、ゲームだ。 追いつ追われつ――鬼ごっこ。 男と女の恋愛みたいに…… って、なに悟ったようなコト言っちゃってんの? 若干高校生の、オレ。  
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