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しっかしオレ、逃げ切れんのかな……?
切迫感もなく背後の気配をのんびり伺いながら、思う。
ちょっと逃亡犯な気分だな。
なんて。
いや。まさかヤツらがこんな楽しい気分で逃げてるワケねーんだけど。
逃亡犯になった経験もないくせに……
と、思い直して安易にそんなコト思った自分がちょっと可笑しかった。
「あたし、グラウンド探すわ」
「オッケー」
そんな声が最後に響くと、何人かの足音がバタバタと遠ざかっていった。
――ま、そのうち諦めんだろ。
逃げ回り過ぎてちょっと疲れたオレは、足音が去った後もしばらくこのまま、この古めかさを漂わせる図書室にいるコトにした。
この、独特な本の匂いはキライじゃない。
利用者の多い休み時間と違って、放課後の図書室に残るヤツなんか滅多にいねー。
そう、オレは知ってた。
だからこそ、ここを隠れ場に選んだんだけどな。
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