そのキス いくら?

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  オレは更に用心の為、その図書室の奥の小さな小部屋。 あまり存在を知られてない司書室に向かった。 「ここなら誰にも見つかんねーだろ」 チラリと中を見回して誰もいないのを確認してから、さっさと上履きを脱いで部屋に上がり込んだ。 この司書室は、校内見学ツアーをサボるつもりでコッソリ図書室に残った時に偶然見つけた部屋だった。 そこは四畳半くらいの小さな部屋で、なんでか畳張りになってる。 茶道の部室を除けば畳張りなのはおそらくここだけだろうな。 貴重な場所だ、多分……きっと。 目立たない場所にあるだけに、あんまり掃除されてないみたいで。ちょっと埃っぽいけど。 それを除けば快適で。 オレはご機嫌で奥の窓際に向かった。 一階では、唯一この部屋の窓からしか見えない位置にあるグラウンド。 窓を開けて空気を入れ換えながら座り込んでゆっくりと目を閉じれば、そこから聞こえてくる賑やかで小さな雑音は丁度いいBGM代わりになった。  
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