殺人鬼の哀歌

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薫には今までにない感情が沸き上がっていた。 怒り、憎しみ、恨み、悲しみ、絶望、そんなものでは表せない程の感情が沸き上がる。 どうしてこんな奴らがのうのうと生きているんだ……。 死ぬのは和にいじゃない。 奴らの方だ……。 薫は涙を流しながら歩いていた。 兄は優しい。 きっとこの世界中のどんな男よりも優しいはずだ。 人を疑わない彼が、弟である自分のせいで騙されて、いじめられて、そして死んだ。 アイツらが和にいを殺したんだ。 アイツらが殺した。 オレのたった一人の兄を……。
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