第二章

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「初めまして♪崎谷紗綾(サキダニサヤ)と言います」 俺は目を見張った。 転校生はあの彼女だった。 「紗綾ちゃんか、宜しくね!」 周りのクラスメートは陽気に会話しているが、俺は戸惑いを隠せなかった。 「私、神夜君の隣が良いです」 ちょっと待て、俺は嫌なんだが。 「おお、そうか」 紗綾は俺の隣に向かって歩いてくる。 「宜しくね♪神夜君」 俺は恐怖を覚えた。 「神夜良かったなぁ!」 風雅はお気楽に煽る。 俺は死に直面してるいうのにな。 「学校案内してくれる?」 「お、おう……」 休み時間になると声を掛けられた。 教室のドアを開け、校内を回る。 「やっと人気の無いところね」 屋上に着くと紗綾はそう言って来た。 俺は対抗手段が無い今、逃げるしかないだろう、殺されるのが前提として。 「最初の命令は貴方を殺せ。だったんだけど……急にスキルの発動を待てって言われてね」 「昨日ネットで調べたよ」 少なくとも俺はまだ生きてられるらしい。 「俺には……スキルなんて力無いぞ?」 「貴方が気づいていないだけでスキルは覚醒しつつある」 「俺にスキルが……」 いきなりそんな事を言われても実感が無い。 「そして私が転校して来たのは貴方を訓練するため」 は?訓練?昨日殺される寸前だった相手に? 「ほらっ♪行くわよ?私の氷柱」 「危なっ!」 ギリギリで避けるが、すぐさま次の氷柱が飛んでくる。 医者に治療して貰った脚は、痛みすら感じない程に回復していた。 「これでも勢い弱めてんだけどなぁ」 「うわっ!」 脚に氷柱がかすった、血が少し出ている。 「それっ♪スキルを発動しないと私には勝てないわよ~」 どうすればスキルを発動出来る? そうだ、あの時叫んだように感情を爆発させれば発動出来る気がする。 「スキル!!発動!」 疲労感が俺を襲う、全身からエネルギーが逃げていくようだ。 キィィィィン!! 耳鳴りがする程の音と共に俺の手から光剣が出ていた。 「貴方は万能型か……ちょっと羨ましいね」 万能型?あのネットには説明が載っていなかった型か。 「じゃあ万能型の使い方を教えてあげるわ♪」
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