第一章

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「急がないと遅刻だ……」 時計を見るとそろそろ家を出なければいけない時間が迫っていた。もちろん朝食を食べてる暇など無いので焼いてない食パンを食べた。 「行ってくる」 一言家族に言い、自転車の鍵を手に急ぐ。 鍵を開けて徐々に力を込めてこぎ始める。 見慣れた道は心地よい。 「ふぅ……暑いな。」 まだ初夏だと言うのに無駄に暑い。 この先に行くと道が二つに別れていて、片方は本道でこっちが通学路だが俺はもう片方の道の方が早いのでそっちを使ってる。 こっちの道はトンネルで廃道だがしっかり通れる。 いつものトンネルを急いで通る、本当は立ち入り禁止なのだが。 「流石に涼しいな」 薄暗いトンネルの中は冷えていた。 「ちょっと肌寒いな」 おかしい、いつもはこんなに冷えてないのだが… 「あっれぇ~ここは立ち入り禁止だよぉ?」 誰だろうか?妙に笑っていて恐怖心を抱く。 少し離れていてこちらからはあまり見えない。 彼女をよく見ようと、彼女に近付くが一段と肌寒さが増した。 「突然だけど……君には死んで貰うからっ♪」 「……は?」 突然過ぎてまぬけな声が出てしまった。 それにしても彼女は突然何を言い出すのだろうか? 「えっと……俺急いでるから。」 そう言って通り過ぎようとすると、自転車が動かない。 「ごめんね♪私も急いでるのぉ~」 自転車を見るとタイヤの部分が凍ってるようだ。 何で凍っているのだろうか? 原因を考えると彼女が凍らしたと考えてもおかしくない。 「もう良いかな…じゃあね♪」 彼女の掌から氷柱が飛んでくる。 「うわっ!?」 危ないながらも避けた……が、次の氷柱はもう刺さっていた。 「ふふっ刺さっちゃったね?」 脚から血が出る、痛い…痛いがこの場から早く逃げなくては。 脚が痛むのを我慢し、家の方向に戻る。 「逃げるの?そんな脚で?」 彼女は笑いながら追いかけてきた。 「追い付いた♪」 こんな脚で逃げるのは無駄だったか。 とっさに思った事をそのまま口に出してしまった。 「俺に……俺に何の恨みがあるんだよ!」 俺は叫んだ。 するとほんの一瞬だが、体から何かが放出された、体力を大幅に使ってしまったようだ。
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