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「うわっと……危ないなぁ」
俺が叫ぶと何故か彼女は後ずさっていた。
何が起きたか良く分からないが、確かなのは危険という事だ。
「……逃げなきゃ」
まだ痛む脚を奮わせ走りだす。
「あっ待ちなさいよ!……逃げられちゃった」
歩いての帰路は遠い。
歩きながら先程の出来事を思い出す。
「なんだったんだ」
冷静に考えてみるが、脚から出てる血を見る限り夢や幻では無いようだ。
かといってすぐに信じるのにも無理があるが。
「自転車……凍ってたよな」
考えれば考えるほど訳が分からない。
いや――理解したく無いのだろうか。
今日はとりあえず病院に行くことにするか。
思考していると見馴れた家に着いたようだ。
「ただいま」
俺は家に入り、親に事情を説明した。
と言っても自転車で怪我をしたと嘘をついたのだが。
なんとか理解して貰い病院に行くことになった。
車で送るか聞いてくれたが、さっきのような事態が起こるかも知れないと遠慮した。
「参ったな……」
電車を待ちながら先程の出来事をもう一度考える。
……駄目だ、まとまらない。
病院に行ったらさっきのトンネルにもう一度行ってみるか。
『向日水~向日水行きがまもなく到着します白線より――』
電車が来たようだ……
中を見回すといつもの電車だ。
心配しなくても大丈夫……か?
周りの乗客から奇異な目で見られるのはこの際我慢しよう。
目的地に着くまで一眠りするか……30分程寝れるだろう。
「貴方は―の使命―ら逃げ―れない」
!?
変な夢を見てしまった…
本当に大丈夫だろうか、悪い予感がする。
『咲見沢~咲見沢に到着しましたお降りの――』
目的地の咲見沢に着いたようだ。
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