第一章

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「うわっと……危ないなぁ」 俺が叫ぶと何故か彼女は後ずさっていた。 何が起きたか良く分からないが、確かなのは危険という事だ。 「……逃げなきゃ」 まだ痛む脚を奮わせ走りだす。 「あっ待ちなさいよ!……逃げられちゃった」 歩いての帰路は遠い。 歩きながら先程の出来事を思い出す。 「なんだったんだ」 冷静に考えてみるが、脚から出てる血を見る限り夢や幻では無いようだ。 かといってすぐに信じるのにも無理があるが。 「自転車……凍ってたよな」 考えれば考えるほど訳が分からない。 いや――理解したく無いのだろうか。 今日はとりあえず病院に行くことにするか。 思考していると見馴れた家に着いたようだ。 「ただいま」 俺は家に入り、親に事情を説明した。 と言っても自転車で怪我をしたと嘘をついたのだが。 なんとか理解して貰い病院に行くことになった。 車で送るか聞いてくれたが、さっきのような事態が起こるかも知れないと遠慮した。 「参ったな……」 電車を待ちながら先程の出来事をもう一度考える。 ……駄目だ、まとまらない。 病院に行ったらさっきのトンネルにもう一度行ってみるか。 『向日水~向日水行きがまもなく到着します白線より――』 電車が来たようだ…… 中を見回すといつもの電車だ。 心配しなくても大丈夫……か? 周りの乗客から奇異な目で見られるのはこの際我慢しよう。 目的地に着くまで一眠りするか……30分程寝れるだろう。 「貴方は―の使命―ら逃げ―れない」 !? 変な夢を見てしまった… 本当に大丈夫だろうか、悪い予感がする。 『咲見沢~咲見沢に到着しましたお降りの――』 目的地の咲見沢に着いたようだ。
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