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「うーん!」
その場で背伸びをする。
あまり難しい事は考えなくても良いか…
外に出て周りを見渡す。
咲見沢は高層ビルが建ち並ぶ大都会だ。
俺は向日水の方が好きだが。
都会の急ぎがちな雰囲気や、慌ただしい毎日は自分の性格に合わないだろう。
「ここか……」
地図を片手に探しながら見つけた病院。
少しボロくて怪しげな雰囲気を出している。
入って見ると中は意外に綺麗だった。
「椅子にお掛けになってお待ち下さい」
受付係にそう言われ、椅子に掛けた。
すぐに自分の名前を呼ばれた。
「今日はどういった外傷で?」
氷柱の事は言わない方が良いか。
「え~と脚に怪我をしてしまって」
「これは……傷が深いじゃないか!」
まぁ氷柱が刺さりましたから。
俺の脚ここまで良く動いたな。
「早く手当てをしよう」
医者は手際良く命令を下し、医療器具を集めて来たようだ。
医者が他の人が居なくなったのを見計らったように言う。
「君の傷は戦闘によるものだね?」
脚の治療をしながら聞いてきた。
一瞬ビックリしたが顔には出して無い……はず。
「自転車で転んで出来たんですよ」
その場しのぎの嘘をつく。
全てを悟ったような表情で言われた。
「……また、何かあったらここに来ると良い」
「あ、はい」
丁度治療も終わり俺はその病院を後にした。
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