第一章

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「うーん!」 その場で背伸びをする。 あまり難しい事は考えなくても良いか… 外に出て周りを見渡す。 咲見沢は高層ビルが建ち並ぶ大都会だ。 俺は向日水の方が好きだが。 都会の急ぎがちな雰囲気や、慌ただしい毎日は自分の性格に合わないだろう。 「ここか……」 地図を片手に探しながら見つけた病院。 少しボロくて怪しげな雰囲気を出している。 入って見ると中は意外に綺麗だった。 「椅子にお掛けになってお待ち下さい」 受付係にそう言われ、椅子に掛けた。 すぐに自分の名前を呼ばれた。 「今日はどういった外傷で?」 氷柱の事は言わない方が良いか。 「え~と脚に怪我をしてしまって」 「これは……傷が深いじゃないか!」 まぁ氷柱が刺さりましたから。 俺の脚ここまで良く動いたな。 「早く手当てをしよう」 医者は手際良く命令を下し、医療器具を集めて来たようだ。 医者が他の人が居なくなったのを見計らったように言う。 「君の傷は戦闘によるものだね?」 脚の治療をしながら聞いてきた。 一瞬ビックリしたが顔には出して無い……はず。 「自転車で転んで出来たんですよ」 その場しのぎの嘘をつく。 全てを悟ったような表情で言われた。 「……また、何かあったらここに来ると良い」 「あ、はい」 丁度治療も終わり俺はその病院を後にした。
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