平和だった生活

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あ、俺の名前は安藤直也、16歳。 どこにでもいる普通の高校生。 ちなみに、今ハマってることは腕時計集め。 それもアナログの方だ。 デジタルの腕時計なら何個か持ってるんだけど、アナログは1個も持ってない。 今時、高校生でも普通にアナログ持ってるのに、何で俺は持ってないんだろ……。 まあ、隆之おじさんが入学祝いだから特別に買ってやるって言ってくれたからいいんだけどさ。 そういえば、その腕時計、予定だと今日届くんだっけ。 ……へへ。 やべやべ、顔がついニヤケちまう。 こんな母さんに見られたらニヤニヤ病とか言って医者に行かされちまうよ……。 ニヤニヤ病……。 「な、直也?そんなに落ち込んでどうしたの?何か悩みがあるの?お母さんに話してみて?」 「あ、いやこれは違くて―――」 「あ、お母さんには話しにくいことなんだったら無理に話すことないの。学校に行けば担任の先生がいらっしゃるだろうし、担任の先生が嫌なら保健室の先生やカウンセリングの先生だっていいし、それでも話しにくいなら精神科に行けばお医者さんがあなたの悩みを聞いてくれるの。いい?大事なのは1人で塞ぎ込んじゃうことなのよ?あなたは決して1人じゃないんだから」 「う…うん、心配してくれてありがとう。でも、本当に悩みがあるとかそういうのじゃないからさ……」 「そう?本当なのね?」 「うん、大丈夫だよ」 「ならいいけど、何かあったらお母さんを頼りなさいよ?」 「分かった、ありがと」 ……通算238回目のやりとりでした。
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