第1章

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ピピピピ、ピピピピ、ピピ―――ガチャン。 頭上の方で鳴り響く目覚まし時計に一撃を加え、ボクはそこでパタリと力尽きる。 ……ね、眠い…… 目覚ましのおかげでどうにか目は覚めたけど、再び閉じようとするのを堪え切れないほどに眠たい。 昨晩はついつい漫画を読みふけってしまい、ヤバいと気付いた時にはすでに三時過ぎ。 慌てて布団に入って眠ったのはいいけど、その結果が今のボク。 現在のコンディションは徹夜明けよりも少しマシと言った程度。 むしろ徹夜明けの謎のハイテンションでは無い分マイナスかもしれない。 「琥珀ー?早く下りないと遅刻するわよー!!」 「すぐに下りるよー……」 階下から聞こえてくる母さんの声に返事をしながら、もそもそと布団から出るボク。 そのまま部屋を出て二階の一角にある洗面台へと向かい、簡単に顔を洗ったついでに寝癖も直しておく。 顔を洗った事により気分は幾分マシになりはしたけど、それでも体を動かすのが怠い。 かと言ってこのままのんびりして学校に遅刻なんて事は避けたいので、自分の部屋へと戻って手早く服を着替える。 淡いブルーのカッターシャツに身を包み、グレーのズボンを穿いて紺色のブレザーを羽織れば……あっという間にいつもの制服姿に早変わり。 ネクタイが無いのはご愛嬌、ご飯を食べてからでも十分間に合うからね。 今日の朝ごはんは何なのかなぁ…… その後母さんが作ってくれていた朝ごはんをおいしくいただき、ネクタイをしたところで我が家のチャイムが鳴り響く。 「おはようございます!!琥珀はまだいますか?」 「あらあら久美ちゃんじゃない、いつもありがとうね」 玄関から聞こえてきたのは母さんの声と幼馴染である早瀬 久美(はやせ くみ)の声。 もうそんな時間なのか、久美を待たせるわけにもいかないし急いで荷物を取ってこよう。
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