第1章

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ひとまずあの二人からの注文については頭の隅の方に寄せておき、午前中の授業の方に集中する。 ……最後の一言が妙に気になるけれど、遅くならなければ何も問題は無いはず。 いつもと違った二人の様子に疑問を抱きながらも、午前中の授業は滞りなく進められていった。 「―――礼、ありがとうございました」 「「「ありがとうございました」」」 四時間目の授業が終了したところでパンを売っている購買部へと急いで向かう。 あの二人から渡された注文書はすでに確認済み、後はそのパンが売切れるよりも先に購買部へと辿り着けばいい。 購買部の場所は校舎一階の隅っこ、三階にあるボクの教室からの最短ルートは非常階段から下りるルート。 だけど購買部へと向かうのはボクだけではなく、当然の如く他のクラスの人達もいる。 更に非常階段を使うルートが一番早い事は周知の事実。 そのため購買部に急ぐ人達は皆して非常階段へと殺到し、急ぐつもりが逆に遅くなってしまう。 この事を考えれば少し遠回りにはなるけど中央階段を通った方が早いんだ。 ……まぁ、これもほとんどの人が知ってる事なんだけどね。 そんな事を考えつつも廊下を歩いている人を避けながら走っていき、数人の人が並んではいたものの購買部へと到着。 目的のパンがちょうど売切れているなんて事は無く、無事にパンを購入する事が出来た。 これで後は校舎裏にいるはずの二人に届ければボクも弁当を食べる事が出来る。 校舎裏へは裏口から出ればすぐなので、ここからだと三分もかからない。 あの言葉の事もあるし、とにかく急いで行かないと……
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