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2002年ー 全日本学生体重別選手権ー 「マサ、どうだ?調子。」 2学年上の中岡が忠匡の打ち込み中に聞いてきた。 忠匡が口元を緩めた。 「いいと思いますよ。」 付き人として、忠匡に付いている竹野は、忠匡が笑ったのは今日初めて見た。 中岡はタオルで額に浮かんだ汗を拭った。 「確か、全国は初めてだろう?ベスト8に入れば講道館杯に出れるらしいからな。二人行ければいいな。」 中岡は、昨年ベスト8。今年の東京大会では2位で優勝候補の一人だ。 「確か、徳山とは準決勝だったか?」 中岡の問いに、忠匡は頷いた。 「はい。」 徳山は、昨年1年生ながら優勝している。 中学時代には、全中軽量級優勝、高校時代にはインターハイ、全日本ジュニア60㎏級優勝を果たし、昨年の講道館杯でも3位に入っている。 云わば、この階級の若手ナンバーワンである。
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