プロローグ

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高峰探偵事務所! あなたの悩みも名探偵高峰竜之介がズバッと解決。 まずはご相談! 詳しくは助手の小橋まで! 「よし、完璧だ!」 一枚のポスターを手に、満足気な啓太。 「何が完璧だ。 俺は探偵事務所なんか開いた覚えもお前を助手にした覚えもねぇし。」 「お前ももう一流な探偵だろ? 警察にも手伝ってくれてる人間がいるじゃないか!」 「あのなそれは…。」 「だからその才能を利用しない手は無いだろ!?」 「利用ってなんだよ? 俺だってな。 好きで巻き込まれてる訳じゃねぇんだよ。」 強い口調でそれだけ言うと、竜之介は去っていった。 「どうしたんだよ? あいつ。」 「小橋も分かってあげなよ…。 竜之介は好きで巻き込まれてるんじゃないんだって。」 「そりゃ…分かってるけどさ。 でもあいつ。 これまで沢山の事件を解決して来たじゃん…? 利用するって言い方は悪かったよ。 でも友達期待してやんのも友達なんじゃないかって思ったんだ。」 「小橋…。」 「あのー…。」 「だから…その…俺は高峰の才能に…」 「すいません…。」 「あー! 今大事な所なんだよ!」 「あっ、静ちゃん!」 バッ! 華夜が名前を呼んだ瞬間に、素早く振り向く啓太。 「あっ…えと…お邪魔したみたいですね…。 如月先輩、小橋先輩。 すいませんでした。」 丁寧にお辞儀をして静は走り去る。 「あっ! 違うんだこれはその!」 「静ちゃん、何かあったのかな…?」 「行っちまったか…。 所で、知り合いか?」 「あっ…うん。 後輩の、鈴木静ちゃん。 絵画屋敷って言う大きな屋敷に住んでる、画家一家の娘さんなの。」 「へぇ…。 あの娘も絵を描くのかな?」 「うん、こないだ美術コンクールでグランプリだって。」 「マジかよ! すっげぇじゃん! 見た目も可愛いしまさに才色兼備だな!」 「小橋、恭子さんに怒られるよ?」 「そっ…それは気にすんなって。 もう、終わった…話だし。」 「小橋…?」 「そっ…それより早く追い掛けようぜ! 見た所なんか用があったみたいだし。 もしかしたら依頼かもしんないし。」 「うっ…うん。 そうだね。」
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