9.誕生日と卒業

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「! これって………」 「これ、かのんのことだよね」 2月1日の記事には、都内私立中学の入試のことが書いてあった。 自分の経験と、毎年教室が悲喜こもごもとすること。 そしてそこには、読む人が読めばわかる形で、私と野川のことが書いてあった。 私については、こう綴られていた。 「塾の実績なんて頭をかすりもしなかった。 ただ、彼女の労苦が報われたことが嬉しかった。 我が事のように、とよく言うが、もはや我が事であった。 これ以上なく嬉しかった。」 先生………。 そんな風に、思ってくれてたなんて。 そこまで喜んでくれてたなんて。 私こそ、先生がそう言ってくれたことが、これ以上になく嬉しいよ。 合格したときすら嬉し泣きしなかったのに、この文を読んだ夜は泣いた。 それくらい、私にとって嬉しくてたまらなかった。
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