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噂をすれば、本人がちょうど近くを通りかかった。
シャランシャランと鳴る金属の音。
「あっ、あれだよエンドゥーって!エンドゥーせんせー!」
ミアが早速引き止めた。
「おー、どしたの、集まって」
一番最初に目についたのは、先生のファッションセンスだった気がする。
金属音の正体は先生の腰についているチェーンだった。
塾内のいろんな場所のものだと思われるたくさんの鍵の束をオシャレなチェーンで腰に止めていて、揺れる度に軽やかな音がする。
「今ねー、3人で新年度の先生見てたの。エンドゥー、算数も社会もウチらの持つんだね!」
「そうそう。ミアちゃんとハルナをもつのは久しぶりだねー」
優しそうな先生だなあ。
気さくだし話しやすい感じ。
落ち着いた茶色の、男性にしては少し長めのサラサラな髪で、結構かっこいい(笑)
「蒼井さんは初めてだよね。どうも、遠藤です。これからよろしくね」
「は、はい!蒼井かのんです。よろしくお願いします!」
驚いた。
私の名前、知ってたんだ…。
私は今まで全く知らなかったのに。
遠藤伊吹先生か、伊吹って名前いいなあ。
新年度スタートは数日後。
新年度初回の授業は算数B。
私は少し、わくわくしていた。
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