8.直前、そして本番

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中学生が帰り、生徒が私だけになる。 「蒼井~~!」 先生が嬉しそうに近づいてきてくれた。 私も先生に走り寄り、 「受かったぁー!」 と満面の笑みを送る。 すると、先生が少し高めに手を挙げてきた。 「!」 私も手を挙げ、少しジャンプして、 「「イェーーーイ!!」」 綺麗にハモり、パンッ!と小気味良い音を立ててハイタッチ。 先生の手は思っていたより大きかった。 「本当にありがとう、先生!先生たちのおかげだよ!」 「いやいや、蒼井の力だよ。俺たちができることなんてほんの少しだからね」 「そんなことないもん!うち、この塾がなかったら絶対合格できなかった。本当に感謝してもしきれないよ」 そう言うと、先生は私の大好きな笑顔を浮かべた。 お母さんも先生にお礼を言って、少し3人で話す。 「西川先生がさ、『蒼井はいつも通りでした』って言ってたから、絶対大丈夫だと思ってたよ」 「そりゃー勿論だよ!」 ちょっと誇らしげに言ってみる。 「だってお前、変に緊張するとツメ甘くなるじゃ~~ん(笑)」 「わーひどーい!(笑)確かにそうだけどさ~~!」 先生がいたずらっぽく笑う。 この笑顔も大好き。 「帰ったらすぐ、先生からもらったアルバム聴くからね!バッチリ聴くからね!」 「あっはは、早く寝ればいいのに~(笑)まぁ、ゆっくり聞いてください(笑)」 「えへへ、じゃあまたねー!」 先生は終始、心の底から喜んでくれている様子だった。 それが嬉しくて仕方なかった。
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