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次に目が覚めた時、身体中が痛くて、縛り上げられてて、20時だった。
場所は変わらず教室。
「あ、起きた?霧生くん、おはよう」
何もなかったかのように、微笑みながら挨拶をくれる岸辺さん。
だけど彼女の手の中には、さっき俺を殴ったバットが確かにあって。
それどころか、包丁もあった。
「岸辺さん、これは…一体…?」
「気になるよね。うーん…まだ時間もあるし…いいよっ、答えてあげる」
月明かりに照らされ、綺麗にウインクを決めながら、朗々と、あるいは滔々と、彼女は信じがたい話をしはじめた。
「霧生くん、悪魔って信じる?うん、神様じゃなくて悪魔。魂と引き換えに願いを叶えてくれる、悪魔。私はね、その悪魔、を召喚出来るんだ。そんな目で見ないでよ、酷いなぁ。頭は大丈夫だよ。でね?悪魔にお願いを聴いてもらいたいんだけど、契約の対価とか、嫌じゃない?え?私の願い?それは平田静樹の彼女だよ。ううん、お嫁さん、かな。私、あの人が大好きなんだ。霧生くんはどう?好き?…あー、なるほど。『月下美人と黒猫』ね?いいセンスだよ。すごい演技力だよね。あ、話を戻すとね?悪魔にお願いして彼との運命をつくって貰うんだ。霧生くんはそのための生け贄。わかってくれた?」
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