3日目『ハードな朝に』

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プーさんは相変わらずの高いテンションで俺を見上げて話しかけてきた。 「危うく遅れる所だったぜ! ママが急に出かけて起こしてくれないから頑張ってコツコツ貯めたおこづかいがムダになる所だ!」 その口調は英語の吹き替えをイメージしてるのか? てかおこづかい? あなたもう確実に三十路は行ってますよね? 確実に社会貢献しなくちゃいけない年ですよね? 完全にガチニートじゃねぇか! クマのプーさんでもなくプレスリーのプーさんでもなくプー太郎のプーさん来ちゃったよ! てか頼むから俺に構わないでくれ! 「プーさん、仕事はしないのかい?」 先頭のおじいさんがプー太郎のプーさんに尋ねた。 「大丈夫だぜ! ロックンローラーは仕事や金が無くてもビートが刻めれば生きていけるぜ!」 ぜったいに生きていけませんから! かっこいいセリフ言ってるつもりかも知れないけど、あなた完全にガチニートですから! バンドマンも派手なパフォーマンスの裏では昼間地味にたこ焼き焼いたりしてコツコツ金稼いでんだよ! 「まぁ、そのうち見つかるわな」 おじいさんがそう言った時、CD屋のシャッターが音を立てて開いた。
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