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誰かにお金を借り、返済を請求されたら他の誰かにお金を借りて返す。
また返済を請求されたら、更に他の誰かにお金を借りる。
これを繰り返しているうちに、返済を請求してこない者か、純粋に忘れてしまう者が現れる。
すると、最初に借りたお金は自分の懐に残るというものである。
そう。
皆さんお気付きの通り、ただのクズだ。
これほどのクズは中々お目にかかれないであろう。
「何しに来やがった?」
俺は鋭い瞳で闇の錬金術師を睨み付ける。
「まあまあ、そんな邪険にしないで。ただちょっと捜して欲しい物があるだけだよ。ちゃんとした依頼だぜ?」
闇の錬金術師は近寄って来て馴れ馴れしく俺の肩に手を置いた。
「知り合いでもキッチリ金は払ってもらうぞ?」
「心配すんなって。俺はある人の代理で来ただけだから」
「代理だと? 貴様の言う事は信用できん」
「ホントだって。金払いもめちゃくちゃ良いぜ? なんつっても依頼主は豪邸に一人で住んでる三十代の未亡人だからな。しかも美人だ」
闇の錬金術師は、そう言うとニヤリと怪しげな笑みを浮かべた。
豪邸に一人で住んでる未亡人……か。
なるほど。
三十代の未亡人……ね。
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