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綾斗は混乱していた。
目の前には、首筋から大量に出血する愛しい恋人の姿。
それに対して何も出来ない自分
必死にゆうの傷口を持っていたハンカチで抑え、止血しようと試みる。
が、思いの外首の傷は深い。
それに加え、切られた場所が場所だ。
止血の途中、心の隅でもう助からないという思考が芽生えはじめる。
そんな自分に綾斗自身、極度の嫌悪感を抱いていた。
自分の携帯電話を取り出し、病院に電話すると同時に後ろを振り返る。
そこにはもうすでに、ゆうを切った犯人の姿は無く、月明かりに照らされた信号機が怪しく点滅しているだけだった。
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