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(こんな場所に長居は無用だ)そう思い、その重たい脚に力を入れて歩き出す。
横断歩道の途中まで来てふと下を見る。
ゆうの倒れた場所だ。
もう、今ではあんなに広がっていたゆうの血は綺麗に無くなっていた。
…いや、よく見ればその場だけアスファルトが黒ずんで見え無くもない。
ずっと眺めていると、そのアスファルトに新たな染みが出来ていた。とても小さく丸い染み。その染みはゆっくりと増えていく。
俺は泣いていた。
ゆうがいなくなってから、何度も落とした涙。
もう枯れてしまったと思うくらいに泣いたのに、まだ悲しみの雨は止まってくれない。
俺はまた自身が悲しみに沈んでいくのが分かった。
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